この4人の共通項は何?そう、オール古稀。白髪のトム・ジョーンズもこの年で新しいアルバムを出した。リンゴは先日7日が誕生日だったので、テレビで健在振りを見せていた。りんごを丸かじりしている古い写真が出たので、日本語でリンゴはりんごと日本人が教えたのでは? あれはフジだったか。彼はブロッコリーが好物で毎日1個は食べるといっていた。若さの秘訣だろうか。片や日本代表はアラーキーこと荒木 経惟氏、「70は写真の入り口、100まで生きねば写真が撮れぬだろう」そう、この気炎が素晴らしい。
私は今年1月に70になってからというもの、ふてくされている。とてもイヤなのだ。まだ思考も確かで、大した物忘れはしないようなのだが、何を忘れたかを忘れる現象もあるので怖い。すべてが面倒くさくて、なるようになれと投げやり傾向。道を歩きながら年寄りを見ると、あの人は私より年が上でああ見えるのか、それとも実際は年下なのに、あんな年寄りに見えるのか、いくつになるとあんなになるのかなど、誰彼かまわず、足を止めて聞き出したい衝動が起きる。顔写真は年相応に年寄りに見えるからとてもいや。
リリオは「ミセスT、あなたは大丈夫、90になっても、『リリオ、急げっ、バスが来た!』って走っているから」と笑っている。昨年、アメリカから妹が来たときもマンションの階段を「早く早く」と急かしながら4階から駆け下りて、びっくりさせた。まだまだ行けるのだろうか。70の年齢に気分的にこんなに負けるなんて、想定外だった。でも昨日、スーパーで、イギリス人老女が「なんと素敵なハット!」と被っていた帽子を褒めてくれた。「サンキュー」「どういたしまして」。これだけだったが、うれしくて、暫く微笑んでいた。
今日は木曜日、金、土、日、月曜にはここを去る。娘もようやく気持ちを落ち着かせて、バンコックへ戻る気になっている。そのくせ、日課は少しも変えずに好きに出歩いて、出発まで1ヶ月を切りそうというのに、いつ準備を始めるのか、私が一人やきもきしている。Sevenoaksのミヨ子さん家に行って、おいしいランチ。食後はいつも街のリサイクル店巡り、5軒もある。そこで、ウソでしょう、探していたショッキングピンクのスーツを見つけた。サイズもぴったり、すぐに買った。ラッキー!秋の大会のお衣装はこれでお決まり。
今何を一番に考えればいいのかわからなくて困っている。夫のこと?子供たちのこと?あけぼの会のこと?会長さんをやめること?老後のこと?心がうろうろ彷徨っている。考えることが多すぎて決められないのではなく、何をしたいのか、しなければいけないのかがわからない。とにかく、今日の夕食はハンバーグに決めた。そろそろスーツケースに物をきちんと詰めて帰り支度を始めなければ。午後からホームへ行って、病人を見てくる。こんな目先のことしか思いつかない。本当ははっきりした自分の未来像を決めたいのに。
今回も病人にこれといって急変がなかったので「ロンドン便り」もドラマティックとは行かなかった。ずっと迷っていたのだが、今度から、あけぼの会32年の中のエピソードを書き出していくのはどうだろうか、自問している。私しか知らない出来事がたくさんあった。ライフワークの総仕上げになるか、日本の患者会の歴史の貴重な記録になる、なんて。