夕べ(1月5日)から本格的に降り出した雪でイギリス全土は白い毛布に覆われて、テレビでこれをフローズン・ブリテン(凍った英国)と呼んでいるが、その通り。最初「20年ぶり」だったのが30年、50年になって、今は1947年以来と言う年寄り証人も出て、2010年は歴史的な幕開けになっている。交通機関は乱れ、日本の羽田みたいなガトウイック空港は終日閉鎖、438便が欠航、国道には動けなくなった車で一夜過ごした人、近くのホテルに辿り着いた人も部屋が満杯でロビーで固まって暖を取ったなど、ニュースは終日雪一色。

 ロンドン市内は機能しているのだが、私はサボって今日はホームへ行っていない。雪道用の靴がないので、道でスッテンが怖い。病院はそれで担ぎ込まれた怪我人で溢れているという。何より気温が低すぎて、寒がり屋の私はとても外へ出られない。これでも満州・奉天生まれて6歳までいた。日本も荒天、静岡の山中からヘリコプターで吊り上げられる遭難客の画像がこちらでも流れた。死者も出たとか。地球温暖化の反動で地球は寒冷化もしているのではないか。11日に予定通り私のジェット機は飛ぶのか、心配になってきた。

 ちょっと困った事が起きている。私のこのブログ(と本当は呼びたくないのだが)がヤフーのALS検索でかなり上位に付けてきているのに気が付いた。始めた時は400位を前後していて、行き当てるのに苦労したので、諦めて見もしなかったのが、今なんと44位に紛れ込んでいる。素直に喜べばいいのに、何故困っているか、それは、私がまじめにALSに集中して書いているわけではないので、無責任だと思うからだ。みなさんは何でもいいから有益な情報をほしいと願って覗いているに違いない。それに十分応えていない。

 どうしよう。もっと真剣に専門知識を勉強して、イギリスのALS患者の実態報告などすべきではなかろうか。雪の話やビーフシチューの話では申し訳ない。言い忘れたが、今日ホームをサボった代わりに朝からせっせとシチューを作りました。とにかくあわててネットで日本のALS研究資料など読んでみているが、病気の話は面白くなくて、すぐにいやになる。私はダメなのよ。タイトルを「ワットさんのALS」としているのが、正しくない。「ワットさん家のALS騒動記」とかに改めれば、より近くなるかも知れない。

 いずれにしても、この4年間の記録を一冊の本にまとめられないか、狙っている。ただ、字数が多過ぎて一冊に収まらない。だいぶ削らなければならない。その作業が難儀で手が付けられない。毎年、大体同じ時期に往復しているので、内容が似てくる。今回は意識的に省略したが、大晦日の花火、時差、こんな生活はほとほとイヤになったという嘆き節など、何度も繰り返してしまう。ダブりを削ってすっきりさせればいいのだ、わかっている。

 そんな瑣末な悩みをよそに、子供たちは介護の手を少しもゆるめない。毎晩、交替でホームへ行き、寝かしつけるまでの一通りの儀式を行う。一晩くらいほっといても死なんのよ、と言ってやりたい。第一、そんなことではホームに預かってもらっている意味がないでしょ、とも言いたい。だが、二人は当然のこととしてやっているので、つい言いそびれてしまう。でもお母さんはね、さらばイギリス、また退散、18日には70歳になるのよ。