こちらに来て1週間に乳がん関係の記事が新聞(含むローカル紙)に3回も載りました。

Ⅰ「Jennifer Saundersさんが乳がん克服!」(7月8日)

(脱毛の頭でロンドン市内の自宅から出かける全身の写真付き)

 この人はこの国では有名なコメディアン、テレビでレギュラー番組を持っている。52歳。結婚暦25年、24、23、19歳の3人の娘の母親、昨年10月に乳がんと診断されたが、しこりは早期に発見されて、手術の後、抗がん剤と放射線治療を受けた。

 彼女の友人のコメントによると、本人は9ヶ月間の術後治療を終え、今はすっかり元気。ドクターは完治の宣言をした。通常、医学的には5年経たないとオール・クリアと言えないが、医師陣は彼女には「あなたは乳がんを完全に打ち負かした」と太鼓判を押した。

 と、こういうのです。この記事を鵜呑みにすれば、治療を終えた時点で「再発は絶対ない」と保証できるタイプの患者もいる、ということになるんでしょうか。また「通常、医学的には5年経たないとオール・クリアと言えないが・・・」とありますが、乳がんは5年経過ではクリアと言えない、と私たちは耳が痛くなるほど聞かされてきましたよね。この2点がひっかかりました。

 ついでに囲みで載った記事:

 『イギリスでは年に45,000人の女性に乳がんと診断される。その10人中8人が50歳以上。Cancer Research UK のハリスさんのコメント「有名人が自分のがんを公表すると、人々のがんに対する関心を高め、検診の重要性と予防に役立つ。彼女の乳がん克服発表で一般女性が日ごろから定期的に乳房のしこりや他の異常に気を付けることになるだろう」』

 その通り、日本でも有名人が乳がんを公表すれば、それだけで人助けになるのです。

Ⅱ デジタルマンモグラフィ(7月7日)

 ウィッティントン病院でこのたび新しいデジタルマンモグラフィ室がオープンした。英国では50~70歳までの女性は3年ごとに無料マンモ検診を受けられることになっている。しかし、2008年の1年間に該当する女性たちの65%しか、この特典を利用しなかった。この新しい機械の導入でより多くの女性が定期的に検診を受けるようになるだろう。

 デジタルのマンモ機は新しいのでしょうか。ヤフーで検索すると、日本には4台あるとか。4台しかないということですが、より鮮明に画像が写り、正診率が当然向上するわけなので、デジタル機で調べてもらった方が診断が確かなことは明らかです。

Ⅲ何故、私は子供たちにウソをついたか(7月10日)

 ある夫婦が結婚15年ののち、昨年7月から別居していることを9歳の娘と7歳の息子に隠し通している。それは何故か。子供たちにショックを与えたくないから。母親より父親の方がこの考えが強くて、娘が新しい学校に入学するまでは少なくても隠すべきだ。入学試験のストレスの上に親の別居がわかれば、大きすぎる問題になるから、言っている。

 ここからこの母親の友人が乳がんになった時の子供たちへの対応が紹介されます。

 シャーロットが昨年夏、乳がんと診断された時、10歳の娘に全部は話さなかった。何故なら、Cancerという言葉は口にしない。人騒がせになるばかりだから。全摘手術をした胸を娘は見られたが、「ドクターが悪い部分だけを取り除いてくれたのよ」と言ったら、彼女も納得した。それ以上の説明をする必要はないと考える。子供たちには受容できる範囲内で情報は与えるべきだと信じる。その後、自分のがんが転移していたと判明したが、彼女は説明を加えないことに決めた。「娘にがんという言葉を聞かせて、マミーが死んでしまうのではと心配させるのを避けたかった。それと、同級生の母親たちが自分の子供たちに私のことを話して、結果的に子供たちが娘が傷つくことを言わないとも限らないから。

 自分が娘にウソをついているとは一度も思ったことはない。「抗がん剤治療をスターとして、髪が抜けるのを見ても、これは悪いものが戻って来ないことを確認するため」と言う。「私たち夫婦はこのがん体験を悲観的ではない受け止め方をして、日常生活も極力、以前と変わりないようにするよう努力した。それで娘も何の疑いもなく納得している」

シャーロットはそれでも娘が13歳になったら、もっと大人の会話をするつもり、それまでは全部の真実を告げることは必要ない(知りたいこと以上を知らせることになる)。

 記事はまだ続くのですが、乳がんに関する箇所だけ抜き取りました。乳がんの友人をたとえに出して、自分たちの別居(離婚?)を子供たちに隠し通す正当性を裏付けようとしているのは見え見えですが、まあ、人はそれぞれなので、許されるでしょう。それより、この年齢の子供を持つ日本のお母さんがたが乳がんをどうわが子に伝えるか、考えさせられるテーマとポイントだと思いましたが、いかがでしょうか。

 

「がん」という言葉がイギリスでも「死」を連想さ

せ、タブー視されていることを知って、ちょっと安心しました。日本は決して遅れてはいません。やはり細心の注意をして使われるべき言葉であることを再確認しました。

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