●富樫さんの3回忌が迫ってきた。命日は2011年6月17日、この日を生涯忘れない。Mr.富樫が、上海からこのために帰国されていて、この水曜に電話があった。たまたま一人出勤していたので、ランチにいらっしゃいとお誘いした。思い出の写真や新聞記事を見ながら、故人を偲んだ。実に前向き志向の人だった、何でも率先してやる人だった、鹿児島の高校の同窓会も中心になってやっていた、海外でもどこでも平気で出て行った、など思い出話が尽きなかった。

●ご主人は日本に帰国するたびに事務所へ顔を出される。あの人の匂いがするのだろうか、事務所のパソコンの前に座っているような錯覚を覚えるのだろうか、その錯覚をいつまでも追い求めているのだろうか。先日TVで「亡き人を敬慕する思いが亡き人をよみがえらせるのだ」という話をしていた。わかるような気がする。富樫さんよ、「千の風」のように、

私は死んでなんかいません、と歌いながら、いつまでも大空を駆け巡っていてほしい。

●「あけぼのニュースNo.130」と「全国会員名簿」の最終校正を昨日、印刷屋に送ってほっとしている。今月中に刷り終えて、発送が6月3日、今回は予想外に手間取ってしまった。年のせいで、何でもパパッと進まなくなっている。その沈滞がだんだんと当たり前になってきている。とてもいや。案じていた会員数はまずまずで、2000をちょっと切る程度で済んだ。かつては4000を超える勢いだったのが、半分以下に減った。勿論独立支部に1000人以上の会員がいる。しかし、やはり乳がん件数が増えている時勢に、減少している。

●何度も自問を繰り返すが、患者会はもはや要らないのではないだろうか?ただ、あけぼの会にもアベノミクス的な活気が戻って来ていて、実は新入会員数が上昇気味。あけぼのハウスも先回で50回、定着してきて、毎回、初めての参加者が増え、その場で入会する人もいる。がんの不安はいつの時代でも消えずにあり、それは、たとえ過剰なくらいの情報が手に入る今日でも、変わらなくあると思うのだけど、みなどう対応しているのだろうか?あけぼの会の新生ヤンググループは頻繁に会って情報交換している。喜ばしい。

●最近、朝のラジオ体操に行く世田谷公園に異変が起きている。私がフィリッピンの女の子たちにラジオ体操とステップダンスを教えるインストラクターになって、にぎやかコーナーを作ってしまった。この集団は全部で15人以上、みなが中目黒近くのビルに共同生活をしていて、そこからそれぞれの仕事場に通っている。大使館員の住まいとか、ビジネスマンの家庭とかにお掃除・家事などのために雇われている。朝6時~7時くらいまでは自由時間なので、みんなで公園に体操に来て、中には自転車乗りの練習をしている人もいる。

●国を離れて日本で働く、いわゆる出稼ぎ人。稼ぎを本国に仕送りしている。イギリスにもたくさんこういう人がいて、あるとき、フィリッピン女性は偉いと褒めたら、日本のほうが偉い、私たちのような人を出さなくてもよい国だから、とこっちが褒められた形になった。けなげに働いて仕送りまでする女たちを見ると、確かに日本は恵まれているのだけれど、何か一つ物足りない。生きることに対する真剣さの欠如ではなかろうか。平和で、中流階級で、衣食住足りて、体がよじれるような生のきしみがどこにもない気がする。

Mailto
akebonok@d9.dion.ne.jp

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